2008年1月31日
足立区の中川小学校の女性教諭が殺害された事件で、遺族が小学校の元警備員の男(71)に約1億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が東京高裁であった。
青柳馨裁判長は、男の殺害行為に対する賠償請求権は消滅したとした1審東京地裁判決を変更、殺害行為の賠償責任を認め、計約4200万円の支払いを命じた。
この訴訟では、「不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する」と規定した民法上の「除斥期間」をどう判断するかが争点となった。1審東京地裁は「殺人」と「遺体を隠し続けた行為」を分けて判断。殺人は除斥期間が過ぎているとして損害賠償を認めず、遺体を隠し続けたことについてのみ330万円の支払いを命じていた。
青柳裁判長は、民法の相続関係の時効規定を挙げ、「相続権利があることを知らないまま時効が成立してしまう場合があり、この規定は、そうした不利益を受ける者を保護するためにある」と指摘した。
その上で、除斥期間とこの民法規定を比較し検討。「相続の発生が分からない原因を作った加害者が20年で賠償義務を免れるのは、著しく正義・公平の理念に反することになる」と述べ、一定の条件下では、この時効規定の趣旨に照らして、除斥期間の効果は生じないと結論付けた。
また、判決では殺害日からの利息支払いも命じているため、実質的な支払総額は1億円を超える見込みだ。