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「 ★「ルポ 下層社会」を読んだ 」 の記事一覧
| HOME | 「ルポ 下層社会」を読んだ…その1
「小泉構造改革」「下流社会」「就学援助42.5%」
落語の高座には三題噺といのがある。お客さんから3つのお題をもらい、それをネタに噺をつくる即興落語である。高校・大学試験や文章講座でもこの三題噺を使った問題が出題されたりするので、ご存知の方も多いことだろう。 3つの単語(キーワード)を文章に入れ、理論を構築するわけだが、たとえまったく関連性のないキーワードであっても、いかに関連付けて論を組み立てることができるかなど、文章力や論理力を試される。 文藝春秋4月号に掲載された「ルポ 下層社会―改革に棄てられた家族を見よ」はすでにご存知の方も多いと思う(読んでいない人は図書館へ!)。「だれが「本」を殺すのか」「東電OL殺人事件」などで著名なノンフィクション作家・佐野眞一によるルポだ。 残念ながらその内容は、足立区の現状をそのまま伝えているとは言い難く、読んだ区民の多くは違和感をもったのではないだろうか? たとえルポとはいえ、それが個性ある「人の手」によって書かれたものである以上、何らかのフィルターがかかること自体致し方ない。しかし、そのフィルター(色眼鏡)がクリアなものではなく、たとえば赤が紫に見え、白がグレーに見えるものだったとしたら…。しかも、わざとそう見える色眼鏡を選んだとしたら…。 つまり、佐野が「悪意」という色眼鏡を選んだのではないか? そう疑いたくなるような内容だったし、僕自身、最初に読んだときはそう感じた。しかし、後から「これはエンターテイメントではないか?」と強く思うようになる。 エンターテイメントというと語弊があるかもしれないが、上記にある「小泉構造改革」「下流社会」「就学援助42.5%」がまさにそれだ。 小泉構造改革…勝ち組と負け組みをつくり格差社会を生む。 下流社会…マーケティング・アナリスト三浦展によるベストセラー。 就学援助42.5%…1月3日の朝日新聞の1面に掲載された記事のなかに「足立区では42.5%が就学援助を受けている」という衝撃的な内容が記載されていた。 である。さすが、著名なノンフィクション作家だけのことはあり、落語の三題噺よろしく、なかなかユニークな論が展開されている。 たとえば、こんな記述がある。
僕などは電車の中でこの部分を読み、その発想の豊かさに思わず吹き出してしまったほどだ。 http://www5f.biglobe.ne.jp/~punch-ht/sakit07.html そうそう、電車の中で読んだと書いたが、佐野によれば、
そうだ。さらに続く。
「閉鎖」が「忌中」に見えたり、炭鉱住宅の廃屋の風景に重なろうが、「バスだけがほとんど唯一の頼り」と思おうが、また「のっぺりとした風景」と感じようが、それはノンフィクション作家である佐野個人の感想にすぎず、その想像力の豊かさについてとやかくいう筋合いはない。 ちなみに僕は、残念ながら道に迷う地元のタクシーの運ちゃんには出会ったことはない。 ただ、このイントロ(導入)部分を読めば、佐野が何を意図しているのかがわかる。つまり「小泉構造改革の犠牲者である足立区はスラム化した下層社会である」という言葉遊びなのだ。そしてその言葉遊びを成立させるために、その地に住む人々を偏見の目にさらすことも厭わないという無責任でサディステックな内容だ。 ひじょうに稚拙な手法であるにもかかわらず、いくつかのブログを見て回ると、残念なことに鵜呑みされているケースも多かった。足立区を知らない、訪れたことのない読者をミスリードすることに成功したわけだ。 「嘘を嘘と見抜ける人でないと、インターネット(掲示板)を使うのは難しい」(byひろゆき)という言葉が思い出された。 もし、このイントロ部分に「悪意や偏見はない」というのなら、妄言癖があるのかもしれない。 これ以降、レポートが展開されていくわけだが、出だしの50行を読んだだけで、一区民としては、最初からその内容の信憑性を疑わざるを得ないのだ。(つづく) ※文中・敬称略
テーマ:東京23区 - ジャンル:地域情報 「ルポ 下層社会」を読んだ…その2
下層社会の足立区? 足立区の(中の)下層社会?
あらかじめ言っておくが、これは「ルポ 下層社会」への反証ではない。「ルポ 下層社会」を読んだ僕個人の感想に過ぎない。 そもそも貧乏人が多いとか、ヤンキーや非行、就学援助や学力低下、モラルの低下は事実であり、足立区が抱える大きな問題点の1つである。 先日も、深夜12時過ぎに未就学児を連れた3組ほどの親子が居酒屋から出てくるのを見た。親が居酒屋で飲むのは勝手だが、子供を平日深夜すぎまで連れ歩くことを「異常」と感じないそんな親のモラルの低さを目の当たりにした気分だった。 さて、「ルポ 下層社会」である。 イントロから就学援助へと話は進む。先の朝日の記事にもあったように、就学援助率42.5%は突出している。ここではその多くを朝日の記事をなぞりつつ、就学援助の話は学力低下へと展開していく。
一部を飛ばして…、
と述べられている。これはほぼ事実に近いことであり、改めて述べることない。ただ、佐野はここで、若干違和感のあるデータを使う。 それが東京大学学生生活委員会生活調査室が行う「学生生活実態調査」というものだ。ウェブ上で誰でもカンタンに見ることができるので、一度参照していただきたい。 http://www.u-tokyo.ac.jp/stu05/h05_j.html 佐野はこのデータを元にこんなことを述べている。
(*)部分、正確には自宅から通う東大生の〜。 まず、先のサイトのデータを見れば分かることだが、「年収が750万円以上が7割」に当てはまるのは2000〜2002年の3年間の話。2003、2004年はともに6割未満である。また書かれていない部分を補足しておくと、2004年は「450万円未満が2割」いるということだ。 さらに、「都内居住地分布」も先に就学援助率がもっとも低いとして、足立区と比較された「千代区・中央・港」の三区が足立区らと同じ1.5%であることを、記しておかなければ公平さに欠けるってもんである。 http://www.u-tokyo.ac.jp/gen03/kouhou/1302/09.html さすがに強引だと思ったのか佐野は、 これらのデータが、ただちに偏差値の高さと相関を示すものではない。また、東大に進むことだけが学力あるものの特権だとも、価値ある選択だとも思わない。 と。だったら最初から書かなければいいのにと思うのだが、自分に都合のいい数字ばかりを引用してまで、東大の話を載せているのは、おそらく「格差」について印象付けたかったからだろう。 さらに佐野は、教育の現場へのインタビューを試みる。ここでも、都合のいいコメントが氾濫している。曰く、小学校の校長は 「親御さんの経済レベルと学力の相関関係は、やはりあるといわざるを得ません」 といい、就学援助と学力の相関関係についての佐野の質問に対して、多くは「口ごもった」「奥歯にもののはさまったような発言」と書いている。さらに、中学校教師2人も、 「(前略)生活困窮家庭における学力不足は、間違いなく指摘できると思います」 という。もちろん佐野は、インタビューに登場した「頭が悪いのは貧乏のせい」と、自らの責任を放棄する教育者たちのレベルの低さやモラルについて言及することはない。大切なのは、それがいかに都合のいいコメントであるか。その1点に集約されるからだ。 そして、実際に就学援助を受ける家庭へのインタビューへと続く。この部分は、とても臨場感があった。夫を亡くした母子家庭、ちょっとDQNな感じのお母さんなど、貧しいながらも下町の明るさを感じた。就学援助を受けている家庭は、こんな感じなのかなーっと思った。もちろん、それは足立区に限った話ではないが…。 ただ、どうしたわけか話は主婦売春へと飛躍していく。 民主党の藤田幸久も自身の日記のなかで、
http://www.y-fujita.com/aydiary/aydiary.php と書いている。僕もそう感じた。(未完) ※文中・敬称略
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